2024年観光白書から見る最新のインバウンド状況と伸び代
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【インバウンド対策】訪日外国人向けのビジネスを充実させるために必要な考え方
観光庁のデータから読み解く、インバウンド旅行客のホットな需要
2024年観光白書から見る最新のインバウンド状況と伸び代をお伝えします。
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001738599.pdf
2023年、日本の旅行業界はコロナ前の水準に向けて大きく回復しました。訪日旅行客は2500万人に達し、これはコロナ前の約80%に相当します。特に中国を除いた訪日旅行者数は102%となり、過去最高を記録しました。このことから、日本のインバウンド需要が急速に復活していることが明らかです。2024年の第一四半期のデータも同様の傾向を示しており、今後も成長が続くと予想されています。
また、2023年のデータによれば、訪日旅行客の国別内訳では韓国からの旅行者が最も多く、次いで台湾と香港が合計で全体の25%を占めています。2024年の第一四半期では、中国からの旅行者も増加傾向にあり、今後のインバウンド需要のさらなる拡大が期待されています。このような状況から、日本の観光業界は引き続き成長し、多様な国からの旅行者を迎える準備が求められます。
コロナ前にも日本のインバウンド需要は過去最高を更新していましたが、2024年に入ってそれをさらに上回るペースで更新し続けていくだろうことが予想されています。
訪日外国人消費、過去最高に
2023年、日本の旅行業界は観光客数だけでなく消費額においても大きな成果を上げました。訪日外国人の旅行消費額は5兆3065億円に達し、過去最高を記録しました。これはGDPの0.9%を占める重要な経済的インパクトを持っています。過去最高であった2019年と比較しても1割以上の伸びを示しており、2024年以降もこの成長傾向が続くと予想されています。
消費額の内訳を見ると、台湾からの旅行者の消費が最も多く、旅行者数が最多であった韓国を上回る結果となっています。このことは、旅行者数だけでなく、消費額に注目したビジネス戦略が必要であることを示唆しています。特に台湾からの旅行者向けのビジネスを拡大することは、今後の成長を見据えた有望な戦略と言えるでしょう。台湾向けのマーケティングやサービスの充実が、日本の旅行業界にとって新たな成長の鍵となるかもしれません。
宿泊業界の回復と人材不足の課題
2023年、日本の宿泊業界は大きな回復を見せています。国内の旅行キャンペーンに加え、インバウンド需要が本格的に復活したことにより、売上高は上昇し続けると予想されます。しかし、この成長の裏側には深刻な人材不足という課題があります。特に宿泊業や飲食業では全産業と比較しても人材不足が顕著であり、この状況が続けばビジネスチャンスを逃すことになりかねません。
企業にとって、人材の確保は長期的な課題となっていくでしょう。競争力を維持するためには、優れた人材を採用する力がますます重要になります。これにより、業界全体での人材戦略の強化が求められています。特に宿泊業界では、魅力的な職場環境の提供や柔軟な働き方の推進が必要とされており、人材確保のためのイノベーションが求められています。日本の旅行業界が持続的に成長するためには、この人材不足の問題を解決することが急務です。
日本旅行業界の急成長とアメリカ人旅行者の増加
コロナ禍からの回復において、世界全体の旅行業界はまだ完全には復活していないものの、日本は特に顕著な成長を見せています。世界全体の旅行客数がコロナ前と比べて11%減少している中で、日本は逆に8%増加し、コロナ前の水準を上回る回復を遂げています。特に2022年後半には急速な回復が見られ、訪日旅行者数は順調に増加しています。
また、アメリカ人の旅行先としての日本の人気が急上昇しています。コロナ前と比較して、日本を訪れるアメリカ人旅行者の数が大幅に増加しており、これは日本の旅行業界にとって大きな成長の兆しと言えるでしょう。このような傾向は、日本がアメリカ人旅行者にとって魅力的な目的地としての地位を確立しつつあることを示しています。今後もこの成長を維持し、さらなるインバウンド需要の拡大を目指すことが期待されます。
外国人旅行者の支出増加と「コト消費」の拡大
2023年、日本を訪れる観光・レジャー目的の外国人旅行者の一人あたりの支出額は、2019年と比較して3割増加しました。この増加は、物消費から体験などを含めた「コト消費」へのシフトを示しています。旅行者が日本での体験や文化を重視するようになっていることが伺えます。
特に、イギリス、フランス、アメリカ、オーストラリアなどの欧米からの旅行者は、一人あたりの消費額が高い傾向にあります。これに対して、アジアからの訪日客はテーマパークを目的とする旅行が非常に多く、消費傾向が異なります。日本の観光業界は、これらの多様なニーズに応えるために、さまざまな体験やサービスを提供する必要があります。今後も、訪日旅行者の満足度を高めるために、体験型の観光プログラムやテーマパークの魅力をさらに強化することが求められるでしょう。
大都市圏集中と地方観光の課題
2023年の訪日外国人の全宿泊数のうち、約7割が東京、大阪、京都の三大都市圏に集中しています。消費額でもこれらの都市が突出しており、特に東京は1兆円を超える消費が記録されています。次いで大阪が約6000億円、京都が約2700億円で、東京は京都の約4倍の消費額となっています。このような傾向は、大都市圏が外国人旅行者にとって主要な観光地であることを示しています。
また、2023年現在、大都市圏は2019年比で10%以上の成長を遂げていますが、地方はまだ回復しておらず、2019年の75%程度に留まっています。この差は、地方の観光資源やインフラの充実が求められていることを示唆しています。
さらに、2019年比で日本食や日本酒の人気が高まっており、これは訪日外国人の消費傾向に新たな変化をもたらしています。特に、InstagramなどのSNSを活用した情報発信の余地が大きく、これを通じて日本の魅力を広く伝えることが期待されています。地方の観光資源も含め、効果的なプロモーションが重要です。日本の観光業界は、都市と地方のバランスをとりながら、さらなる成長を目指す必要があります。
多地域訪問とリピーターの重要性
日本を訪れる欧米やオーストラリアからの旅行者は、滞在期間が長いこともあり、多くの地域を訪れる傾向があります。ヨーロッパやオーストラリアからの訪日客の半数以上が、4都道府県以上を訪れていることが特徴です。一方で、韓国からの訪日客の半数以上は1都道府県のみを訪れ、週末旅行の形態が多いことが伺えます。
また、訪日旅行客の約半数が地方も訪れていることが分かります。特にアジアからの訪日客はリピーターの割合が高く、台湾や香港からの旅行者の40%以上が日本に6回以上訪れていることが確認されています。このようなリピーターの存在は、日本の観光地にとって重要なマーケットとなっており、彼らの満足度を高めるためのサービスや体験の提供が求められます。
日本の観光業界は、これらのデータを活用し、欧米やオーストラリアからの長期滞在者を対象とした多地域観光プランや、アジアからのリピーター向けの特別なサービスを強化することで、さらなる成長を目指すことができるでしょう。特に地方の魅力を効果的に発信し、多様な観光ニーズに対応することが重要です。
地方観光の増加と経済効果
地方における訪日旅行客の状況について、特に宿泊客が多いのは北海道、福岡、沖縄県です。これらの地域は、外国人旅行者にとって魅力的な観光地として人気を集めています。2019年と比較すると、沖縄県、石川県、徳島県、高知県では欧米やオーストラリアからの宿泊者数が40%以上増加しており、これらの地方が国際的に認知され始めていることが分かります。
消費額に関しても、地方部で特に大きな消費が見られるのは福岡県、北海道、沖縄県です。これらの地域は豊富な観光資源を持ち、訪日外国人旅行者の支出を効果的に引き付けていることが伺えます。福岡県は食文化や歴史的な観光名所が魅力となり、北海道は四季折々の自然景観と食の豊かさで人気を博しています。沖縄県はリゾート地としての魅力が高く、多くの観光客を惹きつけています。
このように、地方部における訪日旅行客の増加と消費額の増大は、地方経済にとって大きな追い風となっています。日本全体として、都市部だけでなく地方部も含めた観光振興策を講じることで、さらなる成長を促進することが重要です。特に、欧米豪からの旅行者に対するプロモーションやサービスの充実を図り、地域ごとの特性を活かした観光プランを提供することで、地方の魅力を一層引き立てることが求められます。
弊社ワークシフトがサポートしている栃木県のインバウンド対策事例
弊社ワークシフトが栃木県庁と協力して、栃木県の魅力を世界中に発信する事業を行っています。「とちぎアンバサダー魅力発信事業」と名付けられたこのプロジェクトは、栃木県の魅力を、世界各地のインフルエンサーを通して世界中に発信する事業です。アメリカ・タイ・ベトナムの6名のインフルエンサーと協力して定期的に、栃木県の具体的な魅力を発信していきます。
栃木県が長期的に訪日客からの認知度を高め、観光してもらうことを意図しています。また、発信のフィードバックを得ることで訪日予定者から見た魅力をブラッシュアップすることができます。
2021年から2年連続でこの取り組みを続けています。
キャンペーンページは以下からご覧ください。また、この事業がどのような目的で、またどのような段取りで進んでいるか、事例としてご紹介することも可能です。詳しくはお問い合わせください。