多言語翻訳・多言語対応を行う際の注意点とおすすめの方法
こんにちは、ワークシフトの海外ビジネスサポートチームのアランです。
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訪日観光客の増加や企業の海外進出によって需要が高まっている多言語翻訳。今回は事業者が多言語翻訳や多言語対応を行う際に気をつけるべきポイントを解説します。
多言語対応の重要性
日本の国内企業にとって、海外企業とのやり取りは増え続けています。旅行やビジネスなどで日本を訪れる訪日客は数年前から増え続けており、2018年は3,000万人を突破しました。またそれら訪日客の消費額は合計で年間4兆5千億円となっており、国内GDPと比べても一大産業になりつつあると言えます。
消費額の使い道は① 宿泊費29.3% ② 飲食費21.7% ③買い物代 34.7%となっており、宿泊業、飲食業、小売業を中心に各産業が外需の取り込みで盛り上がりを見せています。
地域別での合計消費額では、①中国 ②韓国 ③台湾 ④香港 ⑤米国となっています。この5ヵ国で全体の74%の売上となるため、日本の宿泊業、飲食業、小売業従事者にとってはお得意様と言えるでしょう。
これらの訪日客に実際のサービスや商品を消費してもらうことで売上が増加します。訪日客を呼び込むために重要な施策として多言語対応・多言語翻訳が挙げられます。
上記5ヵ国の中でのそれぞれの地域で使用されている言語が異なります。
中国では中国語(簡体字)が、韓国では韓国語、台湾では中国語(繁体字)、香港では中国語(簡体字)または英語が、米国では英語が使用されており、上位5ヵ国だけでも実に4ヶ国語が公用語として話されています。
この5ヶ国で売上の約75%を占めるため、訪日客からの売上を増加させるためには4つの言語に対応する必要があります。
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訪日客対応で重要なのは中国語対応
訪日客の中の売上のうちもっとも大きい割合を占めるのは中国人です。全地域からの売上のうち、実に34%は中国からの訪日客となっています。訪日外国人向けのビジネスを展開するのであればまず対応すべき言語は中国語と言えます。中国からの訪日客は、人数比でも一人当たりの金額でももっとも大きい地域の一つです。訪日中に消費する一人当たりの金額は、ヨーロッパ圏など日本から遠い地域ほど、その滞在日数の長さに影響されて金額が大きくなる傾向がありますが、中国のみ、近隣国にも関わらず一人当たりの消費額が大きくなっています。
例えば韓国からの訪日客の消費額は世界各国の中でももっとも低く、8万円前後となって追います。それに比べて中国からの訪日客の消費額は22万円と、3倍ほどの開きがあります。
これは韓国からの訪日客は「ちょっと遊びに」、中国からの訪日客は「買い物をしに」来ていると予想を立てることができます。
直近では中国人の消費額はもっとも多いため、訪日客からの売上を高めるのであれば中国語に対応することが第一優先となります。
しかしその一方で、中国からの訪日客の消費額に陰りが見えているのも事実です。一時期中国人による「爆買い」が話題になったのもの2015年前後で、それから中国人による消費額は緩やかに減少していくことが予想されます。
中国語の他に韓国語や中国語繁体字、英語での対応も重要です。長期的には英語の使用人口が増えていくと予測されているので、サービスや商品に対する英語の対応が重要となります。また英語は中国語と比べても、「日常会話程度なら理解できる」人が多いため、より多様な地域の訪日客のアクセシビリティを保つことができます。
また、商品やサービスを現在消費している外国人の国籍や使用言語を調べることができれば、そのデータを元に多言語対応を実施することができます。
外国人に消費される商品やサービスを多言語翻訳
直近の観光庁の調査で、訪日外国人が満足している商品やサービスが明らかになりました。
最も満足した購入商品は、「菓子類」、「化粧品・香水」、 「衣類」の順となっています。
これらの満足度が高いということは、長期的にもこれらの商品は売れ続けることが予想されます。菓子類や化粧品、衣類を扱う事業者にとっては、商品の説明や店舗説明を多言語翻訳することで消費者にとって分かりやすくなり、消費のハードルが下がることが予想されます。
菓子類や化粧品、衣類の製造や販売を行う際には、店舗情報や商品メニューを多言語化することで、より多くの訪日客の来店と購入を期待できるでしょう。
多言語翻訳とネイティブチェック
商品やサービスを翻訳した際にはネイティブチェックという確認作業が必要です。
翻訳業者等で日本語から外国語への翻訳を実施したあとにネイティブチェックを実施することで、より確実に外国人に伝わるようになります。
文章を翻訳する場合でもその言語の用法や単語は地域や文化によって異なることがあります。また翻訳者のレベルはどの翻訳サービスでも均一ではないため、ひとつの文章を複数人にチェックしてもらうことが必要です。
最近の例として大阪メトロが駅名を誤訳したとの報道がありました。翻訳のミスは訪日客の混乱を招くことがあるため、二重にチェックを行う必要があるのです。
ネイティブチェックを依頼すべき人材はその言語のネイティブ話者です。翻訳者の中にはネイティブでない言語でも翻訳を行うことのできる人材がいますが、ネイティブでないとわからない微妙なニュアンスは各言語に存在するため、翻訳後はいずれかの段階でネイティブによる確認作業を経るべきです。
1度目の翻訳をネイティブに依頼した場合でも、人によるクセやばらつきを極力減らすために、ネイティブチェックを導入することが重要です。
弊社もネイティブのご依頼を受けることが多数ありますが、1度目の翻訳を大手の翻訳会社に依頼したにも関わらず、ネイティブチェックの段階で多くの修正が入ることも珍しくありません。
多言語翻訳や多言語対応に活用できるツールや人材
Google翻訳
では実際に事業の中で翻訳を実施する際に使えるツールや人材にはどのような種類があるのでしょうか。
無料で使える翻訳ツールとしてはGoogle翻訳が挙げられます。1度に翻訳できる文字数に制限があるものの、1日の文字数限度はありませんし、Googleによるディープラーニングによる翻訳のため、機械翻訳ツールの中ではもっとも精度の高い部類と言えます。現在様々な機械翻訳ツールがリリースされていますが、翻訳の精度がもっとも高いのはGoogleの翻訳だと言っていいでしょう。
ただ、それでもまだ翻訳の品質は、完璧な翻訳と比べると70%くらいだと言えるでしょう。一文であれば意図しているところは問題なく伝わることがほとんどですが、前後の文脈や、細かい「てにおは」となるとまだ完全に対応しているとは言えず、学術やビジネスでの実用レベルには至っていません。
特に日本語は句や節の境目が曖昧で、機械学習では翻訳しにくい言語の一つと言われています。機械学習による学習効果で翻訳の精度は日々高まっていきますが、今後どこまで実用レベルに近づくことができるのかに注目です。
日本語ネイティブ 多言語翻訳者
「日本語ネイティブ 多言語翻訳者」とはつまり、日本人かつ他の言語も扱える人材のことです。例えば日本の高校を出て大学から海外に住んでいる方などがそれに当たります。
これらの翻訳者は日本語のネイティブであり外国語のネイティブではないため、日本語から外国語への翻訳を依頼する際には、翻訳後さらにネイティブによるチェックを入れることをオススメします。
依頼する翻訳者が海外の現地に住んでいる場合には、現地のネットワークで現地ネイティブにチェックしてもらうことが可能です。
日本語ネイティブに依頼する利点としては、依頼者の背景や日本語原文の背景を理解してもらいやすいことです。価格の交渉や日々のやり取りが比較的容易に行えることが利点となります。
また現地語を日本語に翻訳してほしい場合には、日本人に伝わりやすい日本語への翻訳を仕上げてもらうことができます。
現地語ネイティブ 日本語通訳者
「現地語ネイティブ 日本語通訳者」とは外国語ネイティブで、日本語を扱える翻訳のことです。例と日本好きで日本語を勉強した外国人がこれに当たります。
これらの翻訳者は日本語はネイティブではないものの外国語のネイティブであるため、日本語から外国語に翻訳する際にはネイティブに翻訳を依頼できるという利点があります。
その一方で、外国語から日本語に翻訳する際には、日本語の細かい表記という点で、なかなかビジネスでそのまま使えるレベルの翻訳を提供できる翻訳者は少ないと言えます。