日本で想定されているフリーランスでは限界あり?
最近よく耳にするようになったクラウドソーシングという言葉。世間では一体どのような時に使われているのだろうか。
日本ではクラウドソーシングの様な在宅での仕事を可能にするテレワークと呼ばれる形態は「高齢者等のシニア世代」や「主婦」の活用を念頭に宣伝されている。特定の会社に属する事無く在宅で空いた時間に簡単に仕事をする事ができるため、時間に縛られる事無くお小遣い稼ぎをすることができるからだ。
事実、国内大手クラウドソーシング会社クラウドワークスによる指標によると、ここ数年でシニア世代の使用者が急速に増加している事が分かる。さらに女性の登録者においてもいわゆるM時カーブの谷にあたる世代に活用されている事が見てとれる。しかしながら、ここ2、3年ほどでクラウドソーシング市場規模は海外で約4倍へと成長している。つまりそれほど大きな使われ方をしていると言う事であるが、これを考えると「シニア世代・主婦」の利用だけでは少し物足りないように感じる。
クラウドソーシング発祥の地では、フリーランサーに高度な専門性が求められる
そこで、米国大手サービスElanceの活用状況[1]を調べてみると次の様な事が分かった。
クライアントが出す案件の90%が小規模ビジネスであり、クライアントの肩書きの83%が企業のオーナーだと言うのである。また、活用事項第一位から順に“Information Technology”“Internet-based service”“Publishing Media”“Software”となっている。これは企業の経営維持に必要不可欠だが、従来高いスキルが求められ高いコストがかかっていた仕事である。つまり、海外では少人数でオーナー経営の企業がコストを押さえる為にクラウドソーシングを利用していることがわかる。
日本の倒産問題にもクラウドソーシングは光明?
日本の中小企業おいて考えてみると、東京商工リサーチの調べによると、2014年1月から12月の1年間における「人手不足関連」が直接の原因となった倒産の合計は301件であり、前年の263件と比べると14.4%も増加している事がわかる[2]。これに関連して人件費の高騰などにも波及した結果、資金繰りが悪化し倒産するケースも増加しているという。こういった人的コスト要因を含んだ倒産のケースは全体の約10%となり、更なる増加傾向が見られる事から中小企業の経営において早急に解決すべき問題である事が分かる。
クラウドソーシングとは言ってしまえば世界中に部下を持つ事と同じ事である。つまり、クラウドソーシングを活用することで中小企業の人材不足による倒産、人件費高騰に波及した資金繰りの悪化による倒産を減らす事ができると言える。こういった事を踏まえ、外国のように日本においてもクラウドソーシングが活用できる基盤が整備される事を期待していきたい。
参考資料
[1] Elance, Annual Impact Report
https://www.elance.com/q/sites/default/files/docs/AIR/AnnualImpactReport.pdf.html
[2]東京商工リサーチhttp://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20150113_03.html