TPPでGDPが10兆円増える!?
先日、5年を超える交渉の末にTPP交渉がようやく合意に達しました。TPPは「例外なき関税撤廃」と呼ばれ、日本も貿易品目の95%を交渉しています。TPPは経済にどれほどの影響を与えるのでしょうか。
(i)TPPって何?
TPPは、以下の2つが大きな柱とされています。
(1)関税の撤廃
(2)投資ルールの共通化・規制緩和
今まで結ばれてきたEPAやFTAでは自国の産業を保護するために一部品目の除外などを行い、両国にメリットのある品目のみを中心に行われてきました。対して、TPPは一部品目の除外などの例外をなくし、基本的にすべての品目の関税をなくすことを目標に協定が結ばれています。そのため、日本にとって有利な自動車製品の関税撤廃もあれば、日本にとって不利な農産物の関税撤廃もあります。このように、関税の撤廃だけをみると事業者によって有利な将来と不利な将来が見えてきます。
次に、投資ルールの共通化・規制緩和ですが、知的財産権、サービス、金融などの様々な分野におけるルールの統一化をすることで経済のさらなるグローバル化を期待しています。ルールの共通化をすることで、人・モノの移動がますます容易になり、域内分業や労働者の代替など様々なことがおこると思われます。また、規制緩和に伴い海外への進出が容易になることもあり、ますます焦点が海外に向けられることになります。
(ii)TPPの効果は?
TPPの効果についても立場によっては大きな食い違いが生じています。TPP参加に反対した農林水産省の試算では、農業の生産額が4.1兆円減り、関連産業のGDPも7.9兆円減るとされています。逆に賛成の立場である経済産業省では、参加を見送れば、工業製品などの生産額が減り、GDP換算で10.5兆円の押し下げにつながるとしています。ただし、政府の試算では関税を撤廃することで輸出が増えると同時に、海外の安価な製品が流入することで消費が増え 、GDPが3.2兆円増えるとされています。また、TPPには関税の撤廃だけでなく、投資のルール共通化や規制緩和が含まれているため、海外進出が容易になったり、国内市場の競争が進んで市場が活発したりすると考えられ、中期的にはGDPが10兆円増える可能性もあるとされています。
次に消費者の目線で考えられる影響についてです。
まず、関税の撤廃により海外の製品が安い価格で売買されるようになると思います。これによって、外国製品を気軽に買えるようになるでしょう。さらに、外国製品と国内製品の競争が激化すると思われるので、消費者にとってはよい製品が増えていくのではないかと思います。ただし、TPPはいい影響だけでなく悪い影響もあります。政府の発表では、日本の食の安全基準を下げることはないので、規制緩和による食への影響はないとされています。しかし、実際に基準が守られているかを全てにおいて調べることは不可能であり、気持ちの問題から食への不安につながることは否めません。また、混合医療の解禁に伴い、保険外診断が拡大し、平等な医療制度の崩壊や医療の質の低下につながる可能性も危惧されています。
このように、TPPは私たちに様々なものをもたらしてくれますが、自分がどのようにTPPを受け止め、活用していくかが最も重要になると思います。
参考:
http://matome.naver.jp/odai/2140265113174987301
http://www.mdsweb.jp/doc/1280/1280_02f.html