熊本県南小国町での4日間
こんにちは、フランスでフリーランスの写真家をしているニコラスです。日本と日本文化に惚れ込んでいます。
写真家として観光地を中心に活動しており、今は南エーゲ海のサントリーニ島に住んでいます。サントリーニはギリシャ本土から約200キロ離れた島で、今世界で最も人気のある観光地の一つです。
もともとサントリーニは休暇のために訪れただけだったのですが、あまりにも美しいその景観と、婚約者となったアンジェリキと運命的に出会ってしまったためにこの島を私の住まいすることになりました。
サントリーニを訪れ、住むことになった数ヶ月後、2017年9月にワーキングホリデービザで日本に行く事になりました。
日本で1年間写真家としての仕事に集中する予定で、その中でワークシフトと出会うことになりました。ワークシフトはフリーランサーが仕事を探すのをサポートするオンラインサービスです。
数ヶ月後アンジェリキを日本に呼び寄せ、日本国内を旅したり一緒に働いたりして過ごしていました。
まもなくありがたいことに女の子を授かり、Tokio という名前をつけることにしました。
その後日本から帰国したあとしばらくワークシフトを使う機会はなかったのですが、ユーザーとして会員登録は解除せずに定期的に送られてくるお知らせは受け取り続けていました。
The 'Adventure'
2019年10月にワークシフトからメールである招待状が届きました。それは人生で一度もないようなワクワクするものだったので私とアンジェリカは跳んで喜びました。
その招待状の内容とは、日本の九州に無料で旅ができるというものだったのです。九州は常々行きたかった場所だったので、またとないチャンスに恵まれました。
この旅はJTBによる外国人向けのテストツアーで、ツアーを体験しながら外国人から見た内容やおもしろさについてアンケートに答えるというものでした。
迷わず申し込みをし、数日後にワークシフトの担当者とビデオ面接をすることになりました。
まもなくして、私たちがこのツアーに参加することができるという信じられないほど嬉しい報告を受けました。
この人生に一度しかないような'Adventure'は、JTBと熊本県南小国町による共同事業で、外国人観光客を連れて現地の体験をしてもらいそのフィードバックをもらうのが目的で行われるものでした。
いよいよ出発の日、ギリシャのアテネから熊本へ向かいます。熊本空港で担当者が出迎えてくれ、宿泊先である瀬の本高原ホテルに送ってもらいました。
このホテルはモダンな旅館風の高級ホテルで、天然温泉が涌き出で、阿蘇山山脈と火山の素晴らしい景色を見ることができます。
到着日の夜はぐっすり眠ることができました。次の朝は温泉に入ってから朝食をいただき、この旅のツアーガイドであるMaxさんと合流して、いよいよ出発です。
初日はマウンテンバイクで渓谷と森林を下りながら、現地の農家を訪れました。
農家の素敵な老夫婦と一緒に新鮮なほうれん草と里芋を収穫し、一緒にお昼ごはんを作りました。
一緒に美味しいご飯を作った後は現地の民謡や古くから伝わる昔話を聞きました。
農家の方とお別れしたあとは再び自転車で田園風景の中、小川や絵本に出てきそうな集落のそばを通り抜けました。
日が暮れる頃、今夜の宿泊地である一軒の民宿に到着しました。焚き火とともに出迎えられ、日本では焼肉と呼ばれるバーベキュースタイルの料理をご馳走になりました。
数多くのお酒もあり食事は最高に美味しく、とても楽しむことができました。
その夜は畳と布団でよく寝ることができ、次の朝は味噌汁や鮭、現地のヨーグルトなど日本食を中心とした素敵な手作りの朝食をいただきました。
朝ごはんをいただいたあと、再び旅を続けます。
山と森
2日目は森を感じることを中心とした内容でした。私たちとMaxはタクシーで森へと向かいました。
森へ着くとある木こりの方を紹介されました。この木こりの方が森の中を案内してくれるそうです。長靴とヘルメットを身につけ、深い森へ進んで行きます。
深い森を歩きながら、木こりの方に森の歴史や木の種類、杉の森を守るために人間が守るべきことなどを教わりました。
その木こりがチェーンソーで杉の切り方を見せてくれ、その場で作った椅子やベンチでゆっくりとコーヒーを楽しみました。杉の木は本当に大きいですよ。
杉の森をしばらく歩いたあとタクシーに戻り、老夫婦が経営しているB&Bという素敵なお店でランチへ向かいました。
午後は杉の木を加工する製材所に伺いました。周辺の森から杉を伐採し、販売にいたるまでの工程に関する説明を受けました。
その製材所近くにあるおしゃれで小さなスタジオでロウソクづくりの体験をしました。
杉のいたるところを無駄なく使うために、杉の葉を使ったアロマオイルの作り方を教わり、このアロマオイルを先ほどのロウソクに塗ってかわいらしいそのスタジオを飾り付けました。
素敵な香りのするこれらを持って、この日の宿泊所である黒川温泉街へ向かいました。
南小国町の境にある黒川温泉街は川のほとりに古くからの旅館が立ち並び、旅行者は温泉を楽しむことができます。
私たちが泊まった旅館は最も古い旅館の一つで、とても素晴らしいおもてなしを受けることができ、時代をさかのぼったような体験をすることができました。
古くからある畳の部屋や温泉街を歩きながら着る素敵な浴衣、そして懐石料理はとても素晴らしいものでした。
夕食後は温泉街を散歩し、いくつか公共温泉や旅館の温泉を楽しみました。
温泉でゆっくりしたあと眠りにつき、次の朝食は部屋食を楽しみました。
朝食後は3日目の旅が始まります。
The Water
車で小さな集落に到着し、そこから川の上流にある水源へ向かいました。新鮮で美味しい川の水を味わい、川に沿って散策しました。
この集落の住民の方々と出会い、あるお宅の池から魚を釣らせてもらいお昼ご飯にしました。
現地の農家の方と小さな畑で野菜を収穫し、みんなで立派な魚と野菜を調理して食べました。
その日は他にしいたけの栽培所を訪ねました。そこで若いオーナーにしいたけの育て方としいたけにとって新鮮な水がいかに重要かを教わり、しいたけを収穫して焼きしいたけをいただきました。本当に今までで一番美味しいしいたけでした。
3日目の夜はその村の温泉に入り、旅館で夕食をいただきました。
The Last Day
最終日は阿蘇地域の観光地を回る1日です。阿蘇山は活火山で、息を飲んでしまうほど美しいカルデラに囲まれています。
まず有名な展望台から阿蘇の眺めを確認し、タクシーで自然保護区にある鍋ヶ滝を訪れました。
阿蘇名物の蕎麦をいただきました。その後は火口に近づき山肌から煙が上がってることを確認することができました。
その日は最後に深い森の中にあり雄大で神秘的な雰囲気に溢れる上色見神社を訪れました。
夜は昔ながらの民宿に泊まり、次の朝熊本空港へと向かいました。帰路につきます。
南小国での経験は本当に素晴らしく忘れられないものになりました。日本の自然と文化が色濃く残っており、まだまだ観光客も少ない貴重な地域です。素敵な人々や素敵な場所と巡り会えた夢のような旅でした。またいつの日か日本に行くことができることを楽しみにしています。