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WSSブログ3 | 日本を取り巻く労働力不足の問題と海外の人材を活用した解決法のゆくえ

日本を取り巻く労働力不足の問題と海外の人材を活用した解決法のゆくえ


少子高齢化によって労働生産人口が減り続ける日本で、求人倍率が高まっているという事実が示すように人材不足が続いています。これらに加え、労働人材の流動性が低いという日本の特殊性もあいまって、多くの日本企業が人材不足を懸念する事態になっています。

このような状況の中、政治主導で働き方改革が始まるなどいくつかの動きがあることは事実ですが、果たして実際に効果が上がるのかはまだ疑問が残ります。

今回は日本の労働環境を深掘りするとともに海外の労働力をいかに活用するかに焦点を当てて様々なデータをご紹介します。

日本はアジアで最も人材が探しにくい国?

人材サービスの英ヘイズが英オックスフォード・エコノミクスと共同で調査研究している「グローバル・スキル・インデックス」によると、日本はアジア・太平洋地域で最も人材が探しにくい国となったようです。

日本における人材の需給のミスマッチは2年連続で悪化し、2015年の調査では最高値である100を記録と書かれています。データサイエンティストやデジタルマーケティング、経営や高いファイナンスの知識を持ったスペシャリストの人材確保が難しいようです。スキルを海外に求める時代は、もうそこまで迫ってきているのではないでしょうか。

出典:ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社 http://www.hays.co.jp/press-releases/HAYS_296284JP

在宅勤務というライフスタイルと社会の取り組み

大手上場会社が軒並み在宅勤務制度の拡充を打ち出している旨の記事が昨今の新聞の見出しを賑わせています。 情報通信技術が発達し、時間や場所を選ばない柔軟な働き方が可能な時代となりました。

育児や在宅介護、就労可能世代の病気罹患率と通院・治療の増加などの理由から、従来の通勤を伴う会社勤務の生活スタイルが合わない人口が増えているという厳しい現実も背後にはあります。 情報漏洩などセキュリティ面の問題や、勤務時間とプライベートの時間の垣根の低下、健康管理など、課題は山積みです。

インターネットや電話などの情報通信機器さえあれば、自宅でも外出先でも仕事が出来る『テレワーク』という勤労形態が普及してから40年以上の月日が経ち、行政や法令整備の観点で日本よりも先を行く欧米諸国の取り組み方や、テレワークを実践している国の人々のライフスタイルから学べることは多いのではないでしょうか。

また、ネットを利用し、世界に簡単に繋がる利便性を生かし、国境を超えた仕事の受注・発注の機会も益々増えるでしょう。 海外を視野に入れたビジネスが企業と在宅勤務者、共に増えていく絶好のチャンス到来です。

人手不足により、海外人材の活用が急務!

有効求人倍率が1倍を超えるなか、少子高齢化による人手不足が深刻になっています。人手不足は単純労働の分野が注目されがちですが、知的労働者においても深刻になっています。日経新聞には『時給5,000円の求人も…』という見出しが出ていました。

システムエンジニア(SE)やネットワークエンジニアへのニーズが強く、IT・技術職の派遣時給は継続的に上昇傾向にあります。情報処理・通信技術者の有効求人倍率は既に2倍を超えています。一方、外国人労働者を受け入れない理由は下記の通りです。

海外には現地レベルの給与で働いている、優秀な若手人材が豊富に存在します。まずは最初の一歩として、インターネット経由で彼(女)らを活用してみてはどうでしょう?

出典:日経電子版 http://www.nikkei.com/article/DGXMZO96422510S6A120C1000000/

政府主導の柔軟な働き方。その一歩先を考える

政府の第2回働き方改革実現会議にて『柔軟な働き方』の促進が議論されました。課題として、テレワークや副業・兼業などの働き方、病気治療と仕事の両立、女性が働きやすい環境整備の整備など、 以前こちらのメルマガにおいて問題提起したことも満載でした。

また、この会議に先立つ20日には、経済産業省が研究会を発足、従来の日本型雇用システム一本やりではなく、働き手ひとりひとりの能力を柔軟に引き出していくということの重要性が再認識されました。

国内労働者の働き方の多様性に加え、今後は外国からの労働力への依拠も必至と考えます。絶対的な労働人口が先細りの一途を辿る我が国で、時間や場所の縛りにとらわれず、ボーダーレスで優秀な人材を活用が可能な社会構造の整備も、この機会に検討する価値が大いにあるのではないでしょうか。

出典:http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai2/gijisidai.pdfhttp://www.meti.go.jp/press/2016/10/20161020006/20161020006.html

どう乗り切る?国内の労働者不足

見込2025年に日本で583万人の労働人口の不足が予想されています。その深刻な不足を補うために女性や若者・シニア層、病気をしながら働く人、外国人による労働力への参加促進が期待されています。なかでも外国人労働者は、2025年にはおよそ144万人にのぼる推計です。

留学生や専門的・技術的分野で高スキルを有する在留資格取得者の増加がまれています。今後具体的な政策が出てくると考えられますが、今のうちから優秀な海外のフリーランサーへオンラインで仕事依頼をし、深刻な労働力不足に立ち向かう糸口を探ることも一策でしょう。海外ビジネスを成功に導くためには、外国人材の活用が不可欠になる時代がすぐそこまで近づいているのではないでしょうか。
(出典)

http://rc.persol-group.co.jp/roudou2025/pdf/roudousijyou_miraisuikei_2016_ver2.1.pdf
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/pdf/n4300000.pdf

増え続ける65歳以上。これからの人口推移

9月21日の敬老の日に合わせて総務省が高齢者の人口推計を発表しました。65歳以上の高齢者は3,384万人で、最高を更新した。実に4人に1人以上が高齢者になる計算です。80歳以上は初めて1,000万人を超え、全体人口の7.9%を占めました。安倍首相は次の内閣改造で「1億総活躍社会担当相」を新設する考えを表明しましたが、国内のみならず海外の労働力をいかに活用するかも重要な課題になると考えています。

余談ですが、厚労省は毎年、100歳を迎える高齢者に純銀製の「銀杯」を贈っているそうですが、100歳以上の高齢者が増えているため、来年から、銀杯を原価の安い銀メッキ製に変更する方針だそうです。


出典:総務省 人口推計(平成27年(2015年)4月確定値,平成27年9月概算値) (2015年9月24日公表)
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.htm

ここまででご紹介してきたように日本国内では多くの問題を抱えています。日本国内だけで労働力を賄うのは大変になってきているのは事実です。そこでなんらかの形で海外の労働力を活用する必要があります。ただ、海外の労働力を活用するにも問題点が多くあり、それぞれの問題がどのような影響を持ちうるのかも調査する必要があります。

ここからは、日本から見た外国人の労働環境の実態や海外の現地の労働環境の実態に迫り、日本で海外の労働力を活用するために乗り越えるべきハードルをリストアップしていきます。

日本人労働者の不足を支える外国人労働者

我が国で働く外国人労働者が初めて100万人を突破しました。(※1)
政府は現段階では積極的な移民政策を採らない方針ではあるものの、3年後のオリンピック等をにらんだ建設現場やサービス産業、観光業界などでは実質的な働き手の不足に悩んでいます。 外国人の正規就労の門戸が狭い一方で、現場の労働力不足を外国人留学生などに頼っているのが事実です。 (※2)

そして残念なことに、外国人労働者や留学生は数年経った後に帰国の途についてしまうのも事実です。
彼らが母国に戻った後も、滞在中に修得した日本語はもとより、日本文化やビジネス慣習のノウハウを生かし、日本から発信されるオンラインの仕事を請け負ってもらうことも、我々が直面する働き手不足の問題解消に大いに役立つのではないでしょうか。
※出典1:http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/01/100-16.php
※出典2:https://news.biglobe.ne.jp/domestic/1221/jbp_161221_3297298275.html

国内で働く外国人労働者の現状

日本における外国人労働者数は約787,600人と、2年連続で過去最高を更新しています。国籍別にみると、中国が全体の約40%、それに続きブラジル、フィリピン、ベトナムとなっています。

外国人労働者を雇用する事業所数は137,000ヶ所を超えており、こちらも過去最高を更新しています。労働者、雇用者共に製造業が最も多くそれぞれ約1/3を占めていますがその割合は減っているようです。一方、宿泊業、飲食サービス業、卸売業、小売業は増加傾向にあります。

これは、中小企業における人手不足が大きく影響しており、この傾向は今後増々強まっていくと考えられます。一方、韓国や台湾なども外国人労働者の受け入れに積極的で、近い将来こうした海外人材の取り合いになる可能性もあります。
自国内の外国人労働者だけでは労働力の不足人員をカバーできない時代がすぐそこまで近づいていると言っても過言ではないでしょう。
(出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届け出状況まとめ(平成26年10月末現在))
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000072426.html

外国人留学生の現状

日本における外国人留学生数(平成 26 年5月1日現在)は、約184,000人と過去最高レベルに達しています。国別にみると、アジアが全体の約93%と大きな割合を占めています。

アジアの内訳をみると、中国(51.3%)、ベトナム(14.4%)、韓国(8.6%)、ネパール(5.7%)、台湾(3.4%)と続きます。また、在学段階別表を見ると、大学院・大学で全体の約57%を占めています。これらの数字から日本には毎年多くの優秀な学生が留学してくることが分かります。

また日本政府は2020年に海外からの留学者数を30万人まで増やす計画も検討しています。一方、日本人学生と同じような就職活動をして総合職として入社する人はまだごく僅かなのも事実です。日本で学び日本の文化を知りながら、自国に帰ってしまった優秀な人材を活用できるのもクラウドソーシングの醍醐味ではないでしょうか。(出典:平成 26 年度 外国人留学生在籍状況調査結果(独立行政法人日本学生支援機構))
http://www.jasso.go.jp/statistics/intl_student/documents/data14.pdf

東南アジアの人材は直ぐ転職してしまう?

海外展開を進めるなかで、現地人材の採用は非常に重要なファクターになります。ところが海外の人材は直ぐ転職してしまうというイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

リクルートワークス研究所のデータを見ると、転職回数自体は国によって大きな違いはありません。一方、3年未満離職率が東南アジアでは高くなっています。この高さが、「直ぐに辞めてしまう」という印象を強くしていると考えられます。退職理由は「賃金への不満」が圧倒的で日本とは大きく異なります。

また、アジアでは転職すると地位が上がる傾向が強いです。日本的な、「年功序列型賃金制度」や「石の上にも三年」はアジアの国々には当てはまらないのかもしれません。余談ですが、「寿」退職が多いのは日本とインドだけだそうです。


出典:リクルートワークス研究所「アジアの「働く」を分析する」 http://www.works-i.com/pdf/s_000242.pdf

 

海外では、副業兼業があたりまえ?

日本では「兼業禁止規定」という言葉をよく聞きますが、実はこの規定、かなり日本独特の習慣なのです。最近では、兼業(副業)を認める大企業も出始めていますが、まだまだ日本は「副業や兼業は禁止」が一般的です。

リクルートワークス研究所のデータによると、海外では驚くほど副業が一般的と言えます(不労所得も含まれます)。マレーシアなどは、およそ半数の人が本業の50%以上の副収入を得ています。スキルを持つ人材の不足が深刻になる日本において、この外国人による副業時間を活用することも必要ではないでしょうか。

出典:リクルートワークス研究所「アジアの「働く」を分析する」
http://www.works-i.com/pdf/s_000242.pdf

海外在留邦人をビジネスシーンで活用する

海外へ進出する日本人が増加の一途をたどっています。昨年10月に外務省が発表した調査統計によると海外在留邦人数は31万7078人、前年比2.1%増で、本調査開始以来最多となりました。 このなかには企業などからの派遣駐在員も含まれていますが、優秀なスキルを持った個人で海外へチャンスを求めている人や、留学生などすきま時間を有効利用してお小遣い稼ぎをしたいと考える人は多くいます。

海外在留邦人は、在住国の言語や文化に精通し、社会に密着した最新の情報把握と、同じ日本人として円滑なコミュニケーションを図ることが出来るため、こちらのニーズを的確に把握してくれることが期待出来ます。 これらのメリットに着目し、翻訳・通訳はもとより、在住国やその近隣諸国のマーケット調査や、現地の人のニーズ・嗜好の調査などを依頼し、越境ビジネスに大いに活用出来るのではないでしょうか。
[※出典:http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000162700.pdf

アジアのハイレベルなIT人材を活用するには

政府は東大や電機大手などと組み、アジアの理系大学生をIT人材として日本企業で採用する仕組みを産官学でつくるというニュースがありました。日経新聞の記事ではインドの大学が大きく取り上げられていましたが、実際にワークシフトに登録しているインド人のうち、約半数以上がIT関連のスキルを有しています。

海外のスキルを持った外国人が日本に移住し様々な活動をしてくれることは日本にとってとても重要だと考えます。一方、言葉や文化の違いなどから、数年で帰国してしまう外国人も少なくないのは事実です。実際に来日する前に、ネット経由で仕事依頼しスキルのレベルを測ったり、帰国してしまった外国人にネット経由で仕事をお願いする、そんな活用の仕方も考えられるのではないでしょうか。


出典:「IT人材白書2015 概要」独立行政法人情報処理推進機構 2015年4月

グローバル人材がやってくる!その前に

内閣府が地域のニーズに応じた外国人の就労を促し、急増する訪日客対応の充実を図る方策を打ち出しました。(1
外国語に精通し、高度なスキルを有する専門人材の不足が現時点で問題であることは云うまでもありません。加えて2016年度の出生率が100万人割れを見込まれる(2 ) 我が国にとって、優秀な海外人材の受け入れは、長期的な観点からも必至と考えます。

しかし実際に『ヒト』の移動が可能になるまでには、移民政策やインフラの整備など、多くの課題をクリアしなくてはなりません。 晴れて海外からの人材受け入れ体制が整う日を待つ一方で、スキルある海外在住のワーカーへ直接オンラインで仕事依頼が可能なクラウドソーシングのプラットフォームを活用することは、 今まさに直面するグローバル人材のニーズ対応に役立つのではないでしょうか。

1※:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS20H7T_Q7A220C1MM8000/
2※:http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei16/dl/2016suikei.pdf

日本国内での人材不足は今後長い間続くことが予想されるので、海外の人材を活用できるかが日本の企業活動を活発化に大きく関わってくることになるでしょう。

人材という観点で見ると今後日本の環境は厳しくなっていくばかりです。一方で海外に目を向けてみると転職に対する考え方が日本と異なりますし、また発展途上国では労働人口が増え続ける見込みがあります。


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