日本の二大クラウドソーシング会社が動き出す
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日本の最大手クラウドソーシングサービス会社の二社が本格的に海外進出に取り掛かろうとしています。今回は、海外進出に至るまでの日本のクラウドソーシング業界の経緯について考察します。
国内、安価、簡単な案件からの脱却
これまでの日本のクラウドソーシングサービスサイトでは、国内のフリーランサーとクライアントの取引がほとんどでした。その理由は、日本人同士だと言語の壁も無く、安心して仕事を依頼できるからです。しかし、国内案件においては、データ入力や翻訳など「安価、簡単」な案件が多く、言ってしまえば「主婦の内職」としてのクラウドソーシングになっていた側面が強かったのです。
その中でも、デザインやプログラミングなどに高い技術を持っているフリーランサーは、企業などを相手に高額案件を獲得していました。基本的にクラウドソーシングサービスサイトは、案件価格から一定割合差し引く仲介料が収入源です。従って、高額案件の取引が多いほど儲けが出るので、クラウドソーシングサービスサイトは、高い専門性を持ったフリーランサー、案件の獲得を狙うようになりました。
その結果、以下の二つの理由からクラウドソーシング各社が海外進出を目論んでいると考えられます。
①高い専門性を持った優秀なフリーランサーを、より多く獲得するため
②より多様な案件に対応するため(海外市場調査など)
日本でクラウドソーシングサービスが普及し始めたのは2012年。それから3年が経過し、日本のクラウドソーシングは新たなフェーズへと差し掛かっている状況です。
クラウドソーシングの二つの論理
クラウドソーシング産業は主に二つの論理で成り立っています。
①あらゆる働き方を可能にする。
②地理的な障壁を超えたビジネスを可能にする。
このうち、①はこれまでの日本のクラウドソーシング各社がサービス拡大のために利用した論理です。例えば主婦の空き時間の内職や、リタイア世代の在宅勤務など、あらゆる働き方に対応できる仕事がクラウドソーシングを通じて生まれました。こういった論理で生まれる案件は、国内・安価・簡単なものが多くなります。
それに対し、②は今後各社が事業拡大を加速する際に利用する論理と考えられます。インターネットのお陰で地理的な距離に関係なく、クラウドソーシングというプラットフォームにてあらゆる人とつながることができる。その中で、クライアントが必要としていた技術や知識を持っているフリーランサーを見つけることが容易になります。この論理で生まれる案件は、専門性が高く、高額なものが多くなります。弊社ワークシフト・ソリューションズも、この論理をもとに、高い専門性を持つ海外フリーランサーを多く獲得してきました。
世界とつながるクラウドソーシングへ
アメリカでは既に、クラウドソーシングのグローバル化が確立しています。Elanceのデータによると、案件の発注者の65%は米国内なのに対し、受注者の68%はアメリカ国外のフリーランサーとなっているのです。
ワークシフトに登録している88か国18,000人のフリーランサーを見れば明らかなのですが、海外には優秀なフリーランサーが多く存在しています。発展途上国においても、ITインフラの整備と、ITリテラシーの発達が加速しており、高い技術を持ったフリーランサーが増加しています。
日本のクラウドソーシングは、そういった海外のフリーランサーに獲得によってその事業領域を更に拡大することになると予測できるでしょう。