Research2015/04/06
クラウドソーシングの現状と日本企業の今後のあり方
近年の労働市場を見ますと、クラウドソーシングサービスの台頭により、地式制約がどんどんと取り払われ、より自由な労働形態が確立してきています。フルタイムの雇用ではなく、プロジェクトベースの雇用を取り入れる企業も増え、個人のスキルが仕事をしていく上での重要なファクターとなりつつあります。クラウドソーシングサービスが、仕事のあり方を根本から変えたといっても過言ではないでしょう。今回のワークシフトリサーチでは、海外のクラウドソーシングサービスElance-oDeskが公開しているAnnual Impact Report 2014をもとに、クラウドソーシングの現状をグローバルな視点から整理し、今後の展望について考察してみたいと思います。
実は、2013年末に米国最大手ElanceとoDeskは合併を発表しております。米国No.1 と No.2が合併を発表したわけですがElance-oDesk は2014年にも大きな成長を遂げています。フリーランスは930万人を超え、年間の依頼件数も270万件を超えております。また、フリーランスが受取った成約金額の合計も900万ドルを超える大きなビジネスとなっています。
どんな国でクラウドソーシングが盛んなの?
図1、図2は国別のクライアント、フリーランス上位国をまとめたものです(金額ベース)。また、図3、図4はそれぞれの成長の伸びが著しい国を示しています。これらを見ると、クライアントには先進国が多く、フリーランスには新興国が多いことが分かります。先進国では人材の取り合い競争が厳しく、優秀な人材を確保するには多額のコストがかかってしまいます。一方、新興国国内の一流大学を卒業しても、経済的事情からや、慣れ親しんだ母国に残るという選択をした優秀な人材も数多いといわれています。彼らの中には、現地企業で働いている人もいれば、インターネットを利用してフリーランスとして生計を立てている人もいます。
優秀なフリーランスに仕事を頼めば、コストを安く抑えられる上、時差を利用したスピーディーな仕事も可能になるのです。データを見る限り、フリーランスの77%が大学の学位を、28%が修士学位を持っています。世界にはいかに優秀なフリーランスが数多く存在しているか分かります。先進国から新興国に仕事を発注するという流れは今後も継続していくものと考えられます。
海外ではどんな仕事が発注されているのか?
図5は、サイト上でどのような種類の仕事が取引されたか、金額ベースでまとめた結果を示しています。これを見ると、日本でクラウドソーシングと聞いてイメージされるような単純作業、翻訳作業などは、海外のクラウドソーシングの中心ではないことが分かります。高度な技術、専門知識を必要とする仕事がクラウドソーシングを通して数多く発注されるようになってきているのです。
図6は、金額ベースで成長率の高い仕事の種類をまとめたものです。これを見ると、全体ではそれほど大きな金額を占めていなかったMobile分野、Sales&Marketing分野が急速に伸びていることが分かります。事業の核をなすような仕事さえも、時と場合によってはクラウドソーシングで発注するような時代になってきたのかもしれません。
ワークシフトリサーチ「日本と海外のクラウドソーシング比較」もご参照ください。
日本企業の今後のあり方とは
ここまでご覧になってきたように、海外の先進国の企業は、高度な技術や専門知識を必要とする仕事を発展途上国の優秀なフリーランスに外注することで、
仕事の効率化と低コスト化を図っています。これまでとは異なる分野の仕事を始めようとするとき、社内にその分野に強みを持つ人がいなければ、
新たな労働力を得る必要があるでしょう。従来のような人材採用手法をとれば、採用にこぎ着けるまでに数ヶ月以上もの時間と多くの費用がかかってしまいます。
ところが、クラウドソーシングを利用すれば、これがわずか3日に短縮されるというデータがあります。より業務をスピーディーに行うことが可能になるのです。
日本でクラウドソーシングというと単純作業を安く発注するイメージが未だに根強いですが、海外の現場はこうも変化してきているのです。
是非一度、海外の優秀なフリーランスに仕事を発注してみませんか?