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 昨今、日本企業の進出・投資が増加しているASEANにおいても、労働力コストの上昇が課題になりつつあります。例えばタイでは2012年に最低賃金が首都圏で約4割上昇し、インドネシアでも同様に2013年に首都圏で最低賃金が約4割引き上げられました。その背景には、各国政府が最低賃金を大幅に引き上げている現状があります。今回のワークシフトリサーチでは人件費が上昇する東南アジアとの新しい付き合い方を考えていきます。


1.東南アジアでの賃金上昇


 中国に引き続き、東南アジアでも賃金の上昇が続いています。日本経済新聞2015年12月22日の記事には、「アジア進出企業、「賃金上昇が問題」69% ジェトロ調査」との記事も出ていました。

かつて安い賃金を理由に「世界の工場」として栄えた中国は、2000年代に急速に賃金が上昇し、多くの企業は生産拠点を中国から東南アジアに移転させました。そして今度は東南アジアでも同じように賃金の上昇が始まっています。上記の記事によると、「2015年度の賃金昇給率が前年度と比べて最大だったのが13.6%増のカンボジア。同国をはじめ、インドネシアやミャンマーなど7カ国が2ケタ増を記録した。」とあり、特に発展途上国のなかでも後発国と言われている地域での賃金上昇が目立ちました。

実際に東南アジアの賃金がどの程度なのかを、『一般工職』と『非製造業マネージャー』で確認し、賃金上昇の程度についてまとめました。

2.2015年版、東南アジアの賃金比較①~ワーカー(一般工職)~

 まずは一般工職の賃金の比較です。特に製造業の生産拠点として東南アジアを考えられている際には、工場労働者が多く必要となってくるはずですのでこの数値が参考になると思われます。JETROの「第25回アジア・オセアニア主要都市・地域の投資関連コスト比較(2015年6月)」から、東南アジア主要都市の一般工職平均賃金の比較グラフを引用します。

東南アジアの主要都市における平均賃金 図1.一般工職(単位は米ドル、JETRO海外調査部「第25回アジア・オセアニア主要都市・地域の投資関連コスト比較(2015年6月)」より引用)

この調査により、高給な都市は1,500ドルを超える香港・ソウル(韓国)・シンガポール、賃金が低いのが100ドル強のダッカ(バングラデシュ)、プノンペン(カンボジア)、ビエンチャン(ラオス)などであることがわかりました。日系企業の生産拠点として人気のバンコクやジャカルタは、過去10年間で100ドル以上賃金が上昇していました。既に日系企業が多く進出している国では賃金上昇は急速に進んでいる一方、東南アジアでも比較的発達が遅れている国々では依然として賃金は低いということがわかります。

3.2015年版、東南アジアの賃金比較②~非製造業マネージャークラス~

続いて知的労働者層である非製造業のマネージャークラスの賃金を比較しました。


東南アジアにおける非製造業のマネージャーの賃金 図2.非製造業マネージャー(単位は米ドル、引用元は図1と同様)

 ほとんどの都市で非製造業のマネージャークラスは一般工職と比べて賃金が2倍~10倍のレベルとなっています。一般工職の賃金も高い香港、ソウル、シンガポールは4,000ドル(約45万円)を超えており、約5,500ドルの日本(参照「アジア各国の賃金比較(2013年1月)」BTMU Asia Weekly, 2013/05/10)に近い水準となっております。賃金が低いウランバートル(モンゴル)、ダナン(ベトナム)、ダッカ(バングラデシュ)などでも700ドル前後~900ドルの水準内であり、一般工職と比較するとかなり金額に差がでてきています。日系企業の進出先としてポピュラーなバンコクは1,557ドル(約18万円)、ジャカルタで1,201ドル(約14万円)となっております。2009年の同データは、バンコクで1,427ドル、ジャカルタで748ドルだったので、ジャカルタでは著しい賃金上昇が発生していることがわかります。

4.賃金の上昇と生産拠点としての進出実現可能性

ブルーカラー、ホワイトカラーそれぞれを代表する一般工職と非製造業マネージャー双方の賃金を見てみました。この結果から、東南アジアでは外資の生産拠点として開発が進んできた地域での賃金上昇が著しいことがわかります。特にジャカルタのような生産拠点移転先としてバンコクなどに続く第二波となった都市に関しては、ここ5、6年で一般工職で100ドル以上、非製造業マネージャーで500ドル以上賃金が上昇するなど、人件費の上昇が著しいことが分かります。

安価な生産拠点先として注目されてきた東南アジアですが、人件費が上昇している多くの地域では以前のようなメリットは見込みづらくなっています。生産拠点移転先として検討するのであれば、ミャンマーやバングラデシュ、カンボジアなどといった東南アジアの中でも開発が遅れている地域への進出を検討する必要があります。ただし、現地でのインフラや、教育・習慣の違いなども十分に考慮しないと、思わぬコスト高につながる可能性もあるので慎重な選択がせまられます。

5.ホワイトカラーの成長と人材活用潜在性


 今後のビジネスにおいて、人件費が上昇する東南アジアとは新しい付き合い方が求められていくでしょう。重要なポイントは、ホワイトカラーの成長です。東南アジアの中でも発展の早い国々は、外資の参入により多くのノウハウを取り込んできました。その結果、国内で知識層の著しい成長が見られ、賃金も上昇してきたのです。そして、この賃金の上昇により、単純労働から知的産業へと東南アジアは大きく変貌しようとしています。今後は、単なる生産拠点ではなく、高度な知識が求められるビジネスを担っていけるようになるでしょう。

東南アジアに単に生産拠点を移転するだけではコストが大きくなる時代になってきました。今後は、現地の優秀な人材をいかに活用するかが重要なポイントになります。例えば現地でのマーケティングを優秀な人材に依頼したり、IT関連の仕事をスキルと経験のある人材に委託したりなどといった付き合い方が考えられてくるでしょう。現地にオフィス・工場を作るのではなく、クラウドソーシングなどを通じて日本から仕事を依頼することでコストや時間を抑えることも検討できます。今後も東南アジアは成長が持続する見込みですので、日本企業も東南アジアとの付き合い方を変化させていくべきでしょう。



参考文献



日本経済新聞2015年12月22日「アジア進出企業、「賃金上昇が問題」69% ジェトロ調査」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDX21H28_S5A221C1FFE000/
日本貿易振興機構海外調査部「第25回アジア・オセアニア主要都市・地域の投資関連コスト比較(2015年6月)」
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/20150045.pdf
日本貿易振興機構海外調査部「第19回 アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(2009年5月)」
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/07000059/cost0905.pdf
三菱東京UFJ銀行国際業務部「アジア各国の賃金比較(2013年1月)」
http://www.bk.mufg.jp/report/aseantopics/ARS20130510.pdf





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