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要約

技術革新は生産性を向上させる一方、「労働の本質」をめぐる変化を起こすことで格差と断絶を拡大させている側面があります。雇用のミスマッチや法整備の遅れなどが指摘される中、技術革新はグローバルに複数領域を横断する稼得機会を生み出してもいます。その一端を担うクラウドソーシングを通して日本の現状を鑑みた時、技術と働き方をめぐる過渡期的な状況において、政策の充実や研究の進展、そして企業と労働者双方の意識改革という課題が見えてきました。


技術から働き方が問い直されている

世界で生じている格差と断絶は、テクノロジーによって加速的に拡大しているように見えます。日々のニュースで流れる人種や性別、貧富の差をめぐる格差と断絶は政治的問題として扱われる一方、その通奏低音として技術革新と経済の問題が大きく関わっています。

2017年5月、「テクノロジー、仕事、労働の未来Technology, jobs, and the future of work」と題されたレポートがMcKinsey Global Instituteから発表されました。ITによる広範な技術革新の影響がいかに雇用に対して及ぶのでしょうか。ご存じのように、ロボット工学やAIの発展を含めた技術革新は、高い生産性や効率性・安全性・利便性の向上といったポジティブな側面を持っています。

しかし、雇用、技能、賃金、そして「労働の本質」についての難題を突きつけるのもまた技術革新です。今日行われている多くの労働は自動化される可能性を持っています。また、ジョブ・マッチングサイトは個人と企業の仕事と雇用をめぐる可能性を変革、拡張し続けています。そして個人事業者は徐々に、UpworkやUberといったデジタル・プラットフォームを通してサービスを提供することを選ぶようになりつつあります。

こうした問題意識のもと、技術革新と労働をめぐる状況を多角的に検証するための基盤を提供することがこのレポートの狙いとなっています。このレポートは大きく10の検討課題とソリューションの提言による11項目からなり、その骨子は1.)雇用・収入・スキルをめぐるグローバルな現状認識2.)オートメーション化と技術が働き方に与える影響3.)デジタル化の課題と可能性という3点に要約できます。この内容を踏まえつつ、技術と働き方の未来について考えてみたいと思います。

うまく働けない人の多さ

レポートが現状を取り上げる上で最初に言及しているのが、不雇用unemployed・過少雇用underemployedについてです。アメリカとEU主要15カ国だけを取り上げても、2億8500万人もの人口が労働市場から退場しています。そのうち少なくとも1億人は労働意欲があるにもかかわらずです。失業や過少雇用を含め、世界の生産年齢人口の30~45%が「活用」されていない状況に置かれているのです。失業は若者において、過少雇用は女性において特に顕著かつ深刻な問題です。

日本に目を転じると、正社員の有効求人倍率が1倍を超え、パートタイムを含めればバブル期を上回る水準にもかかわらず、さまざまな職種での人手不足が問題となっています。また、総務省の労働力調査(2017年7月)によると、非正規雇用者は2068万人にのぼり、労働者全体の37.6%を占めています。失業率こそ世界的に見れば相対的に低いですが、少子高齢化の進展や世界でも低いジェンダー平等の達成度などを鑑みても、日本の置かれた状況が世界と大きくギャップがあるとは考えがたいです。
では、なぜこうした問題が世界で起こっているのでしょうか。

なぜうまく働くことができないのか

レポートでは、「労働の本質」の変化に伴う求められるスキルの変化、教育や移民の問題、自動化による影響について言及されています。教育システムは「労働の本質」の変化のスピードについていくことができず、その結果多くの人がスキルの習得ができないために雇用側とのミスマッチが起こっているというのです。ここで問題となるのはSTEM(科学、技術、工学、数学)にかかわるスキル教育と同時に、コミュニケーションやチームワーク、時間厳守といったソフトスキルです。IT技術の発達やグローバル化に伴い、科学技術に関するスキルの重要性やニーズが増したこともさることながら、国や会社に対して個人の力が相対的に増した現代の働き方には、そうした個人同士や個人が国や企業とやりとりする上での対人能力(日本風に言えばコミュニケーション能力)がますます重要になってきているのです。要するに、スキルや能力、あるいは教育を得ることができる人はどんどん豊かになり、そうでない人はどんどん貧しくなるのです。

その一方で、移民問題は大きな影を落としているといえるでしょう。移民は生産性を大きく高める一方、移住先の社会からは緊張や摩擦を生む存在としてネガティブに捉えられがちです。特に中程度〜低賃金労働者において、この傾向は顕著です。移民側からすれば、出身国に仕事がないゆえに移民するわけですが、受け入れ国側からすれば安価で生産性の高い労働力は欲しいものの、国内の労働者の不満が高まってしまいます。その結果、国家主義や人種主義が呼び込まれてしまう可能性は考慮すべき問題でしょう。例えば、アメリカで近年注目を集めているのはメキシコを中心とした中米からの移民です。貧困や暴力などを逃れて米国へ渡る移民の中で問題となっているのは、不法移民・不法滞在者も多さです。オバマ政権期には強制送還における例外措置を含め、相対的に寛大な対応がなされていました。しかし、白人労働者の支持を受けたトランプ政権への移行とともに移民排斥の気運は高まっています。

日本では、副業やフリーランスといった働き方を守る法整備が進んでいない現状があります。そもそも、日本企業の場合は終身雇用をベースとした副業を許さない服務規程や暗黙の了解もあって、どうしても契約上の立場が弱くなりがちです。2016年時点で5500万人にものぼるフリーランス人口を抱え、多様な分野におけるクラウドソーシングの盛んなアメリカでも、支払いの滞納や修正コストの値切り、無料での業務追加、ノウハウの剽窃といったトラブルが指摘されています。このような理不尽な要求に対してNoを言えるような取り組みもまた、フリーランサーを利用する企業側への啓蒙や社会保障の拡充、法整備にもつながっていくと考えられます。

ここまで、雇用をめぐるグローバルな現状認識を日本の状況と照らし合わせながら確認していきました。「活用」されていない労働人口の多さと、それをもたらす「労働の本質」の変化をめぐる諸要因は、必ずしもネガティブな帰結だけをもたらすわけではありません。こうした状況の中で進む技術革新は、働き方を大きく変えていく可能性を秘めているのです。

技術はどう働き方を変えるのか

では、どのように技術は働き方を変えるのでしょうか。九州大学の篠﨑彰彦教授は、同じく「マッキンゼー報告」を参照しながら、デジタル・タレント・プラットフォームによるマッチング機能、ギグ・エコノミーで広がる新しい働き方、グローバルに出現する多様な稼得機会に注目しています。

デジタル・タレント・プラットフォームとは、人材と雇用のマッチングをおこなうためのオンライン上のプラットフォームになります。能力に見合った雇用をスピーディーかつタイムリーにマッチングすることができれば、雇用をめぐるコストの問題や「雇用のミスマッチ」を減らすことができます。そして、適切な資源配分に基づく生産性向上につながるということです。こうしたプラットフォームは労働市場の効率化・透明化をもたらし、ひいてはGDPの上昇にも貢献するでしょう。また、これは案件ごとに単発の仕事を請け負ういわゆるギグ・エコノミーについてですが、世界的に見ればこうした働き方は隆盛を見せています。そして、新技術を活かすことにより地理的条件などの雇用上の障害をクリアして、新たに労働力を活用することができる機会も増大します。

シェアリング・エコノミーがさまざまな分野で広がりを見せる中、単一の雇用関係や企業、プロジェクト、国や地域にとどまらず、複数の領域を横断する働き方が今後大きな潮流になっていくであろうことは想像に難くありません。

クラウドソーシングからみる働き方の未来

最後に、こうした世界の状況をふまえて、技術と働き方の未来についてクラウドソーシングをめぐるポイントを見ていきます。

クラウドソーシングは先に紹介したデジタル・タレント・プラットフォームを介して雇用をマッチングし、案件ごとに仕事を依頼するという仕組みになっています。先述の通り、欧米では34歳以下の若い世代を中心に広がりを見せており、今後も増加傾向が見込まれます。しかし、所得水準の不安定さが指摘されており、例えばイギリスやドイツでは雇用者の平均年収を下回る所得水準が問題視されています。

日本でも、こうした低収入で不安定な労働状況はあまり変わりません。「フリーランス実態調査2017年版」によると現在、1122万人いるとされるフリーランスの中心は常時雇用がベースにありながら副業としてフリーランスの仕事をする人々です。厚生労働省は「モデル就業規則」からの副業・兼業禁止規定の廃止し、「原則禁止」とされてきた副業・兼業を「原則容認」へと転換する方針を決めています。これを受けて、働き方としてのフリーランスは広がる見通しです。しかし、こうした副業としてのフリーランスで得られる平均年収は60万円ほどとされており、個人事業主や法人経営者としてオーナーのように働くフリーランサーですら平均350万円と雇用者の平均給与である420万円には及びません。つまり、フリーランス単体で生活をすることが日本では難しいのが現状なのです。では、なぜこのような現状があるのでしょうか。

日本におけるクラウドソーシングは端緒についたばかりです。2014年に設立されたクラウドソーシング協会の正会員数は現在28社となっており、その設立年も2000年代後半から2010年代となっています。これだけ見ても、クラウドソーシングは業界全体としてまだまだ新しいと言えるでしょう。非正規労働者の処遇を鑑みても、ワーカーの権利保護や社会保障が制度的に確立されていないのが現状であり、新たなワーキングプアが生まれる可能性すらあるとの指摘もなされています。

業界が黎明期にあるということは、フリーランス側だけでなく仕事を依頼するクライアント側もまた不慣れであるということです。クラウドソーシングを利用することのメリットは生産性向上、専門人材や経営資源の補完、コスト削減などさまざまありますが、現状としては単純労働に関するコストカットに目が行きがちで、そういった観点から仕事を依頼されることが多くなっています。また、クライアントに利用の意向がある場合でも、事務処理や会計上の点で法人内の意志決定が遅れるなどして活用できないことがあります。そして、依頼される業務内容の専門性の程度も、上述のように単純作業が中心となっており、高度なスキルを持つ人材が活躍できる場やそういった人材自体が少ない状況となっています。では、こうした状況は今後どうなっていくでしょうか。

日本の技術と働き方を取り巻く状況はまさに過渡期といえます。少子高齢化に伴う労働人口の減少や経済成長の行きづまりを受け、旧来の雇用制度や慣行では対応出来ないという問題意識は多くの人々に共有されている一方、いかに仕組みを日本の現状にアジャストしていくのかという段階での試行錯誤が続いています。

クラウドソーシングについては、今後雇用契約や社会保障上の立場が弱いフリーランサーを守るため、政策の充実が急がれます。また、クラウドソーシングは国内外においてもまだまだその実情が明らかではないため、実態調査などをふまえた企業とワーカーの双方について研究が進展する必要があるでしょう(帝京大の産学連携のもと、ワークシフトがおこなった調査の結果についてはこちら )。そして、仕事依頼に関する意識改革も求められています。依頼する仕事について、その業務内容や納期などを適切に要件定義し、成果に見合った報酬や評価を与えることは、フリーランサーの働きやすい環境やクライアントたる企業の生産性を向上していくにあたって重要ではないでしょうか。



参照

http://www.mckinsey.com/global-themes/employment-and-growth/technology-jobs-and-the-future-of-work
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170911-00034006-biz_plus-bus_all
http://www.sbbit.jp/article/cont1/33790
https://www.sbbit.jp/article/cont1/33898
https://www.forbes.com/sites/abdullahimuhammed/2017/09/11/4-things-freelancers-should-say-no-to-every-time/#6813ce54162c
http://theheadline.jp/32858
http://theheadline.jp/32508
http://theheadline.jp/32053
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170912-OYT8T50142.html?from=ytop_ymag&seq=02
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO21104830U7A910C1MM8000/?dg=1
http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=56486?site=nli
http://www.e-ir.info/2016/12/10/how-inequality-undermines-democracy/

著者:ワークシフト編集部

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