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近年、AIを活用した機械学習の技術は世界全体で飛躍的に進歩しています。既にビジネスシーンでも活用されており、採用選考や翻訳システム、株価予測、顧客分析など様々な業務にAIが導入されています。国内でも、機械学習を業務や開発に積極的に取り入れている企業が増えているようです。今年1月、国内の企業121社を対象に毎日新聞社がおこなったアンケート調査によると、既に47%の企業が業務の一部にAIの機械学習を導入していると回答しました。「今はないが、具体的な導入予定あり」と答えた企業も含めると全体の約7割の企業がAIの導入を予定しているという結果が出ています。



参考:毎日新聞2018年1月5日 「AI導入企業47% 効率化へ研究進む」


人手不足や長時間労働などの問題を改善するための手段として、多くの企業がAIを積極的に活用しようとする動きが見られます。働き方改革の影響に伴って、AIの機械学習を用いた業務の効率化は今後の重要な課題となるでしょう。

この記事では、AI開発において海外の人材を活用すべきメリットと、その手段としてクラウドソーシングが最適な理由について説明させていただきます。

AI開発のプロセスには大量のデータが不可欠

多くの企業が導入(また導入を予定)しているAIですが、開発はどのように行われるのでしょうか。AIの開発段階は大きく分けてデータ収集・学習・運用という三つのプロセスに分けられます。このプロセスを簡単な画像の自動認識プログラムを作る場合を例にして説明します。

画像認識はまず、大量の画像データを機械に記憶させることから始まります。例えば次の写真をご覧ください。



人間の場合、この写真を一目見れば「机の上に水の入ったペットボトルと隣にバナナが一本置かれている」という認識処理を一瞬で行うことが出来ます。しかし、AIの場合、この一枚の写真から物体を識別する処理を行うためには写真と類似した画像を大量に読み込ませて学習させなければなりません。上の写真も、バナナや水の入ったペットボトルなどの画像を何百枚、場合によっては何千枚の分量を機械に記憶させて物体を識別させる必要があります。つまり収集した画像データ1枚1枚に対して「これはバナナである。」「これはペットボトルである。」などと言った意味付けを行う必要があるのです。この意味付けの作業をアノテーションと言います。

開発プロセスの中において、機械の自動認証は最も重要です。ここまでの一連の過程を終えてようやくAIは「机の上に水の入ったペットボトルと隣にバナナが一本置かれている。」という画像認知処理を行うことが出来ます。この画像認知を発展させて自動運転や画像検索ツールなどの実用的な機械学習が開発されるのです。

データ収集とアノテーションの重要性


上記した3つのプロセスのうち、データ収集とアノテーションは基本的に人間が行う作業になります。質の高い機械学習を行う上では、データ量と正確なアノテーションが欠かせません。なぜならAIを動かすのはコンピュータであり、そのコンピュータの原理は数学です。四則演算を用いた数式処理や統計学の確率を用いて画像やテキストを認知していくのです。ある特定の画像を認知させたいとき、画像に写っている物体の数はいくつなのか。そもそもどんな物体が写っているのか。物体同士の位置関係はどうなっているのか。人間が当然のように感覚で行う画像認知をAIはコンピュータ上の計算のみで行います。数式や統計学の確率式を用いて一枚の写真に何が写っているかを言語化するには、類似したデータを何通りも学習させる必要があります。アノテーションで画像に意味や定義を与えることで、機械学習はプログラムされたアルゴリズムに従ってデータをパターン化させ、物体や文字を認知することが可能となります。

用意するデータには偏りの無いサンプルが求められる


より質の高く応用の効いたアノテーションを行うためには、よりグローバルな視点からの分析が求められます。なぜなら、国内に限らず海外でも実現可能な学習モデルを開発したい場合、海外で手に入るデータも対象に含めなければならないためです。

例えば、AIの機械学習の実用例として挙げられる自動運転は、通行人や道路上の標識や障害物などの必要なデータに意味指示をして学習させることで自動車の走行中に認知させます。もし自動運転の技術を海外に進出させたいとき、日本の路上を走らせる場合のみを想定してデータを収集しただけでは不十分です。当然、日本と海外の路上標識では表記される言語が違います。また、海外では日本では考えられないような障害物が路上に発生することもあります。そのようなケースを想定したデータ収集が不十分だったとき、AIが標識や物体を認知せずに大きな交通事故に繋がる恐れがあります。グローバル市場に通用する質の高い機械学習やAIを開発する場合、海外の調査や他言語のデータなど、より広い範囲でアノテーションを行わなければなりません。


海外に通用するAI


現在、日本国内ではさまざまな企業がAI開発に取り組んでおり、AIに関する議論や機械学習の導入が着実に増え始めています。今後ますますAI産業の発達が期待されていますが、世界的に見るとまだまだ事業化において遅れているのが現状です。アメリカやヨーロッパなどのAI先進国では、既に様々な分野において実用段階まで事業展開しています。自動運転の商業的実用はもちろんのこと、公共サービスや医療診断や薬剤師の処方への実現が進んでいます。こうしたAI先進国と日本を比較すると、やはりAIの開発者や技術者の不足といった問題が顕著に見られます。ではこのような問題を改善するためには、どうすればよいか。AI開発者、技術者を日本の人材から生み出すことも考えられますが、研究面でも遅れを取っている日本では時間がかかる上に限界もあります。



参考URL: http://ai-topics.com/circumstances-of-japan-lagging-ai-research/
2017年のAI研究に関する論文の採択された数 日本の研究機関における論文数は圧倒的に少ない

クラウドソーシング


海外の人材を開発に活用するためには様々な方法がありますが、その中でも手軽に多数の外国人を仕事募することが出来て、自分の希望する条件に合った人材が高確率で見つかる手法としてクラウドソーシングがあります。

機械学習は統計の確率を用いた数式で動きます。実用レベルまで高い質、つまり誤作動を最小限に抑えるには大量のデータが必要です。しかし、質の高い学習をAIに指示するには膨大な時間と手間がかかります。従来、収集とアノテーションと言った作業は少数の専門家が取り組んできました。しかし、この方法では人件費が掛かる割に入手出来るデータの量にも限りがあります。そこでコストや時間を抑え、かつ大量のデータの処理を可能にするためにクラウドソーシングが用いられます。AIや機械学習の開発に必要なデータ収集やアノテーションは重要ですが、多くの時間やコストが伴います。だからこそ、オンライン上で多数の人間に仕事を提示するクラウドソーシングは、高度で一つ一つの作業が大きいデータ収集やアノテーションには最適です。

海外に関するデータの収集は現地に住んでいる外国人に直接依頼できる


特に海外の人材にデータ収集やアノテーションの仕事を依頼する時、クラウドソーシングの活用は高い効率と効果が期待出来ます。例えば、先述の自動運転開発のデータ収集では、実際に海外現地で画像データやケースを調査しなければなりません。調査そのものにかかるコストに加え、アノテーションという専門的知識を要する作業を行うためにも人件費を要します。従来のように開発関係者が自らアノテーションを行うことは、膨大な時間と手間がかかるため非効率的です。クラウドソーシングを通じてオンライン上で専門的スキルを持った外国人に仕事を提示すれば、手間を最小限に抑えるだけでなく、検索しづらい画像や音声など多数の分析データも得られるため機械学習の精度向上にもつながります。

クラウドソーシングを用いることで、世界中の多くの技術者の力を借りることが可能となりました。世界中から注目を集めているAIや機械学習の開発に日本の企業や研究機関が進出することは、グローバル市場全体に対して大きな影響力を与えることと考えています。ワークシフトソリューションズは、日本の企業や研究機関のさらなる海外進出に貢献したいという思いの下、クラウドソーシングの活用を推進していきます。

参考文献・HP

『クラウドソーシングを用いたアノテーション』 芦川将幸

『AI vs 教科書が読めない子どもたち』 新井紀子 

『一般物体認識の現状と今後』 柳井啓二

『機械翻訳を用いた異文化チャットコミュニケーションにおけるアノテーションの評価』 藤井薫和

https://www.sejuku.net/blog/22694
https://tech-blog.abeja.asia/entry/ml-annotation
https://mainichi.jp/articles/20180106/k00/00m/020/124000c
https://www.huffingtonpost.jp/2014/02/03/artificial-intelligence-japan_n_4720179.html

著者:ワークシフト編集部

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