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 今回は、クラウドソーシングをご利用される中で、実際にその価格というのはどのように設定したらよいのかという声にお応えします。特に、価格設定の中でも難しいのが、海外のフリーランスに仕事を依頼する時です。多くのアジアの国々は日本よりも物価が安いことで知られます。その物価の安さを求めて外国人に仕事を依頼する、それもクラウドソーシングの魅力の一つですが、単純に物価差だけでは上手く機能しません。

 何故なら、単に安価な値段を示すだけでは優秀な人材に仕事を依頼することはできません。実際に海外市場調査の案件などでは、価格が安すぎる場合は閲覧数こそ多いものの提案数は少ない、という現象がおきます。つまりは、「その価格はマーケットから外れている」という合図として受け止める事もできます。適正価格であれば閲覧数も多く、提案数も多いものとなるはずです。

 クラウドソーシングでは、価格は基本的に依頼する側の任意になります。また、フリーランスの手の空き状況によっても価格は変わります。ではどうやって目安となる依頼価格を考えたらいいのでしょうか。非常に難しい課題ではありますが、あえてアドバイスをするのであれば、「日本の優秀な学生に仕事を頼むのに出す価格」に近いと言えるかもしれません。

 東南アジアを始めとする新興国では、ITや語学のスキルを持っている者は重宝されます。勿論、その習得には人一倍の努力やお金がかかっているわけなので、彼らも自分の労働対価はシビアに見てきます。「私には○○というスキルがあります。このスキルにいくら払っていただけますか?」という、海外でよくある仕事の求め方をしてくるケースが多いです。スキルがある海外のフリーランスに仕事を依頼するのであれば、はやりそれなりの対価を支払う必要はあります。



Elanceからみる世界の賃金事情


米国大手のクラウドソーシング会社、Elanceのレポートから、世界の賃金平均をグラフにしてみました。



出典:Elance


このグラフを見ると、1時間あたりの日本の報酬と海外の報酬にさほど差が無いことが分かります。これをもとに考えても、世界基準でクラウドソーシングを利用するには、前述したように、スキルに対して適正な対価を支払う必要があります。単に物価差だけを頼りに安価で依頼が出来るわけではありません。もう少し具体的に考えるために、次はロゴデザインを挙げて検証してみます。



ロゴデザインの価格を比較してみよう


 ここに、99designというサイトがあります。このサイトは世界最大級のグラフィックデザインマーケットとなっています。このサイトの特徴は、海外に仕事を頼むのがメインのクラウドソーシングのサイトというところです。国内にもクラウドワークスやランサーズといった企業ありますが、両方とも国内での仕事依頼が多いので、今回は99designを参考にします。

 まず、こちらのサイトでは受け取るデザインの数によって料金が異なります。勿論、価格の変動に伴ってデザイナーの質も上昇していきます。平均30案程度のデザインを受け取る場合は、3万円。平均60案程度のデザインを受け取る場合は、5万円。平均90案程度のデザインを受け取る場合は、8万円となっています。この時点でデザイナーは高レベルのデザイナーとなっており、12万円を払うとトップデザイナーだけが参加できるプレミアムデザインを平均60案程度受け取ることができるようです。

 実際に出来上がった作品はこちらです。




 上のFarm Organicのロゴコンテストでは¥30,029で61のエントリーの中からこちらが選ばれました。下のLochoのロゴは¥30,435で198のエントリーの中から選ばれたものです。


 さて、ちなみに国内のサイトではどうでしょう。クラウドワークスから検証してみます。




 上のTBSのロゴは、5万円で254提案が集まりました。一方で、下のラクスルのwebサービスのロゴは同じ5万円で69件です。

 会社の知名度やその時の状況によって、同じ値段でも提案数は大きく変動することが考えられます。ただしロゴの制作に関しては、海外、国内共に大体3万~5万円が相場と考えることができるのではないでしょうか。

 ロゴ・デザインの様に、既に多くのクラウドソーシングで行われている業務内容であれば、簡単な検索で目安の価格を見つける事が出来ると言えます。



見落としてはいけない大きな落とし穴


 こうしたクラウドソーシングにおけるデザインの募集価格は、一般の会社に依頼するよりもはるかに安いです。例えば、Logo Plusというサイトでは、50万円以上で請け負っています。

 どうしてこんなにも価格に差があるのかと思われた方もいらっしゃると思うのですが、一つ見落としてはいけない大きな落とし穴があります。それは、「商標登録」です。商標登録出願とは、商品名やサービス名、会社名やサイト名などのネーミング、これらのロゴマークなどを特許庁に登録し、独占権を得るための手続です。登録されたネーミングやマークは強い権利で保護されるため、類似商標の登録や模倣使用を防ぎます。

 こうした商標登録の際の費用や手間も込みになると、当然ながら価格は上昇します。また、プロが真剣に長時間かけて制作するのであれば、高価なものであっても、それだけの価値はあると言えます。ビジネスで使用する場合、単に安さのみで判断するのではなく、何を求めているか・欲しているか、を真剣に考え適正な価格を考える事も重要です。



値段の比較が出来ない案件はどうするの?


 「ロゴデザイン」「現地調査」「翻訳」のような案件であれば、今まで実際に見てきたように、有名どころのサイトで料金をいくつか比較しながら、自身で設定することが出来ます。しかし、「台湾でヒーリングセミナーを開きたいが、現地で一緒にセミナーを開催できそうな企業のリストがほしい」といった依頼の値段はどう決定したらよいのでしょうか。この依頼は実際にあったのですが、ここで本文の最初に提示した「日本の優秀な学生に仕事を依頼するときの価格」といった考え方が有効になります。

 例えば、100件の会社のリストが欲しかったとします。日本の優秀な学生に依頼する場合、一時間に5件の会社を検索できると考えます。時給は、1,200円とします。となると、20時間が想定され、24,000円が依頼価格の相場ということが出来ます。

 もちろん、物価の違いがあるので、時給を600円くらいに設定することも出来ます。それでも人が集まるかもしれません。しかし、やはりスキルのある優秀な人材に頼むのであれば、適正な報酬を支払う必要があります。低価格で値段を設定しすぎると素人臭の漂う仕事の結果に終わり、安かろう・悪かろう、となってしまう場合もあります。

 日本の優秀な学生に払うのと同様の額を提示できれば、集まる人材はその金額に見合う成果を残す人が多く集まります。その場合、物価差がある分、結果として日本人に依頼するよりも質の高いものを同額で頼むことが出来るのではないでしょうか。

【参考文献】

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