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流行語大賞を受賞した「爆買い」といった単語が記憶に新しいですが、現在は中国人の日本での消費の動向はどうなのでしょうか。今回のワークシフトリサーチでは、データを踏まえ、これからのインバウンド対策について考察していきたいと思います。


減っていく買い物への支出

中国人の日本での買い物代の平均は、2016年は1人あたり122,895円であり前年比-25%となりました。また、中国人の「爆買い」で2015年に急成長を遂げた免税店、ラオックスはわずか1年で赤字に転落してしまいました。その一方で、訪日中国客数は依然伸びています。日本政府観光局(JNTO)のプレスリリースによると、2016年の訪日中国客数は前年比約28%増の637万人。伸び率は鈍化していますが、母数が拡大するぶん、減少は当然かもしれませんが、なぜこのように日本で買い物をしなくなってしまったのでしょうか。
表1:平成28年における国別訪日外国人旅行者数

(出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査平成28年年間値(速報値))

表2:平成28年における訪日外国人1人あたり旅行支出
(出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査平成28年年間値(速報値))

まず最大の理由として挙げられるのは、円高元安です。人民元・円レートは2015年6月に1元=20.2円を記録しました。それが2017年現在、16.4円を記録、約20%もの下落となってしまいました。円での値上げはなくとも中国人観光客にとっては20%の値上げと同じなのです。

中国人の生活の変化も買い物に変化をもたらしています。今までの中国人の爆買いといえば高価なブランド品、あるいは炊飯器などの電化製品が主でした。しかし2016年の中国人の買い物として多いのが、化粧品や医薬品、食品などの消耗品です。中国では、公務員に贅沢禁止令が出されるなど生活が変化してきています。買い物をする客は増えているものの、客単価が減っていることが平均の買い物代の減少につながっています。 また、海外製品をネット販売する、越境ECの普及も爆買いの不振に影響しています。旅行支出の買い物代が減少し、越境ECの消費が増加していることからも「爆買い」が収束し、中国人の海外商品の消費の軸が越境ECにシフトしていることが分かります。

中国のネット通販小売総額は、2015 年には前年比 37.1%増の約 3 兆 8,160 億元に達すると推計されています。これは、中国における 2015 年の社会消費品の小売総額 30 兆 931 億元の約 12.7%を占める規模ですが、今後も堅調な伸びが続くことが予想されています。
一方、中国のネット通販における輸入品の市場規模は、2015 年には前年比 2.1 倍の約 1,184 億元に達したとみられます。中国のネット通販における輸入品販売は、今後もネット通販市場全体よりも急速な伸びを続け、ネット通販全体に占める割合は 2018 年には 2015 年(3.1%)の倍以上(7.0%)になると見込まれています。

図1:中国のネット通販市場規模と輸入品が占める割合
(出典:JETRO 日本貿易振興機構)



増える訪日外国人旅行者数

一方、中国人に限らず日本を訪れる外国人旅行者数も増加の一途をたどっています。2016年はついに2,000万人の大台を突破(2,404万人)し、政府は2020年の外国人旅行者数の目標を4,000万人に引き上げました。

図2:訪日外国人旅行者数
(出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査平成28年年間値(速報値))

この背景に、新興国における所得水準の上昇が挙げられます。中国や東南アジアの国々では、一人当たりGDPが増加基調にあります。これに伴い、海外旅行を志向する中高所得層が増加しており、自国と地理的・文化的に近い日本を訪れるアジアからの客数は高い伸びを見せています。 また、日本の文化が世界に知られつつあることも要因の1つです。日本の和食やおもてなしの姿勢は世界の人々にとっても魅力的であり、欧米の高所得層が日本に興味を持ち、訪れることが今まで以上に増えています。 2019年にはラグビーワールドカップ、2020年には東京オリンピックが開催され、訪日外国人は年々増加することが予想されます。これにより地域に賑わいと活気をもたらし経済効果が生まれるはずです。

「モノよりコト」

上記のデータから、インバウンド需要は増え続けると予想される一方、訪日中国人による爆買いは終了しつつあります。この状況から考え、これからのインバウンド対策はどうすればよいのでしょうか。一つの解決策として「モノよりコト」というキーワードが挙げられます。

訪日外国人観光客がどこで何をしているのかを分析できるツール、「インバウンドインサイト」によると、最近、外国人の着付け体験が人気のようです。着物を着て寺院を観光している写真を撮ってSNSにアップしたところ、海外で人気が出たそうです。このような日本の文化を体験することが人気を博しています。
また、日本のアニメは世界でも広く親しまれています。海外の熱狂的なファンが日本に来て、アニメの元になった場所を訪れる、いわゆる「聖地巡礼」も人気です。言葉は翻訳されても画像や地名はそのままなので、好きなアニメほどその描かれている場所へ行ってみたくなるようです。
さらには、2013年、ユネスコの無形文化遺産に「和食」が登録されて以降、本場の日本に和食を食べにくる観光客も増えています。去年の伊勢志摩サミットでも和食が各国首脳に振舞われるなど、安倍晋三総理大臣を筆頭に日本の食文化を大プッシュしていて、その成果が表れつつあります。

このように、今や日本に旅行にくる外国人の消費動向は品物よりもサービス・体験そして飲食などに重点が置かれつつあります。

図3:費目別の訪日外国人旅行消費額 (出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査平成28年年間値(速報値))

また、日本にとっては当たり前のことでも外国人にとっては新鮮です。春は花見、夏は祭り、秋は紅葉、冬は雪など日本人にはなんでもないことでもこれらのことを目的に旅行しにくる外国人旅行客も増加しています。

「現地の声」が重要

訪日観光客というと全て「外国人」というくくりでまとめられてしまいます。ところが日本に来ている外国人は国も違えば、習慣や趣味、嗜好も異なります。つまり、今まで以上に細かく各国の状況を知っておく必要が出てきているのです。このようなインバウンド対策として、クラウドソーシングが活用できます。クラウドソーシングを用いて、世界各国にいるフリーランサーに現地調査などをすることで、外国人の嗜好・価値観を把握し、それをもとにインバウンド対策を講ずることができます。これからますます外国人と接する機会が増えていくため、心構えや準備をしていくことが大切になっていくでしょう。

20代、30代の海外の若者は、小さい頃から日本アニメに親しみ、ネット社会にも精通しているため、日本に対する好感度も理解度も高いです。彼らに日本旅行のファンになってもらえば、2人目の子供も生める新「親世代」であることから、将来の市場成長にもつながります。これからのインバウンドはモノよりコト。更に言えば、各国ごとのきめ細かい調査やSNS分析も不可欠です。インバウンド対策は、持続的な経済成長や文化交流、そして地方創成にもつながる、日本にとって重要な対策となります。

<参考資料>


中国人旅行客の消費に新しい趨勢、「何でも欲しい」は過去のものに=中国
http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20170223/Searchina_20170223074.html
観光庁 訪日外国人消費動向調査
http://www.mlit.go.jp/common/001158884.pdf  
JETRO 日本貿易振興機構
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/0d136f54fbd8bc54/20160096.pdf  
インバウンドインサイト
http://inbound.nightley.jp

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